ひた琇未会
小野琇未 ○67歳 ○月隈小学校→東部中学校→芸術緑ヶ丘高校 出身
嶋津富子 ○71歳 ○若宮小学校→南部中学校→三隈商業 出身
梅原美音 ○43歳 ○北小野小学校→戸山中学校→三隈高校 出身
森 陽子 ○58歳 ○大山小学校→大山中学校→日田高校 出身
『着物で彩るまちづくり』をテーマに、2010年NPO市民活動団体として発足した『ひた琇未会(ひとみかい)』。日田のお祭りを盛り上げるための着物の着付けやレンタル、さらには各地域の町づくりへの参加や、日田の文化に触れるイベントなども主催。着物を着て日田の街に彩を添えてもらいたい。そんな思いを胸に和の美学と日田の文化をもっと華やかに彩る活動を続けます。
小野琇未
「琇未会は私の着付け講座の生徒さんで着付けの指導免許を取得した方々21名で構成されています。きっかけは3年間の講座を経て免許を取得しても教室に通い続けてくれる生徒さんが沢山いらっしゃって…。その方達と一緒にさらに着物を楽しみ、私たちの技術を町おこしに繋げられないかなと思ったのです。」
嶋津富子
「今年は孫の成人式だったのですが、私が着付けを習い始めたきっかけが孫に振袖を着せてあげたかったから。1級を取って教室を辞めてしまえば、必ず腕は衰える。もう25年になりますけど、通い続ける価値があったんです。琇未会の活動の中でも学ぶことは本当に多くて、琇未先生の知識とアイデアにとにかく一生懸命ついて行っている感じです。」
梅原美音
「私は東京にいた時にも着付けに通ったのですが、長続きしませんでした。日田で琇未先生に出会ってラッキーでした。他のメンバーもそうですが、私も自分の仕事をしながらも出来る範囲で活動に参加させていただいてます。」
森陽子
「私は実家が悉皆屋をしているにもかかわらず、着物を自分で着ることが出来なかったので…。性格的にはめんどくさがりなんですが、琇未会の活動は楽しく、そこには私の知らない世界があったんです。」
梅原美音
「仕事の後に着物の準備をして教室に行くのって正直億劫な時もあります。でも、教室が終われば最高に楽しくて気分がいい。お風呂と一緒です(笑)。」
小野琇未
「毎回笑顔が耐えない教室ですもんね。みんながそうやって続けてくれたから琇未会が出来たし、副代表である私の姉も含め、会に入っていない生徒さんたちみんながサポートしてくれるからここまで続けられています。」
嶋津富子
「孫の成人式の時は自分も含めて家族四人に着せたんですが、全員無事にちゃんと着せられた!と思った時の安堵感と言ったらなかったです。琇未会も14年続けてやっと町の方々に声をかけてもらえるようになってきました。私は豆田に住んでいますが、商店街の方々や観光協会さんなどに認められるのに10年はかかったんじゃないかと思っています。」
小野琇未
「そうね、時間はかかったけど、今は本当に町の方々の協力なしには出来ないなと感じています。」
嶋津富子「たとえばおまつりの時は豆田の商店街の方が、着物の方へのサービスを提案してくれたり、観光協会さんは人力車を無料にしてくれたり。」
小野琇未
「町全体で取り組んでくださっています。私たちが単独で動いてもここまでは出来ません。みなさんとの繋がりがあってこそ!」
嶋津富子
「おひなまつりの時など、最初は着物持参の方には無料で着付けをしたりもしてましたけどね。」
梅原美音
「全国の観光地で着付けなどが流行りだした時で、私にとっては人に着物を着せることが出来る機会って貴重でしたし、お金をいただくなんておこがましいとも思ってた時もあったんですが、レンタルなども始めるとお金はかかるんですよね。」
小野琇未
「着物を持参していただいても、道具が足りないことも多くて。でも臨機応変に対応することも、私たちにとってはいい勉強になったよね。」
嶋津富子
「やっぱり外国の方は体型が違うから着せるのも最初は難しかったですね。あと言葉の壁。」
小野琇未
「コミュニケーションは大切ですね。紐を締めては顔を見て『OK?』って聞いて…。その繰り返し(笑)。でも陽子ちゃんが入ってきてくれてからは、助かりました!彼女英語が話せるから!」
森陽子
「いえいえ少しです。そんなことでも役に立てればとても嬉しいです。」
小野琇未
「個性あるメンバーだからこそ、携わり方は色々!そう言えば最近はジェンダーレスにもなってきて、昔はこっそり着せて欲しいという男性の方がいましたが、今は胸を張って来てくれます。多くの方に定着してきた今、また新しいことを取り入れて行きたいなと思うんです。」
森陽子
「先生のその意識がいつもすごいなと思うんです。」
嶋津富子
「『懐かしの着物展』もその一つですしね。水害の時に水に浸かってしまった着物の相談を受けて、琇未先生が日田市内に他にも眠っている着物たちを展示しよう!と町中に声をかけ、豆田の旧船津歯科で始めた展示です。」
小野琇未
「日田ってすごいんですよ!素晴らしい着物が眠っています。毎年違う展示ができているのは、着物をご提供してくださる方のおかげ!そして今年の天領まつりでは七五三の行列の提案をさせていただきました。」
嶋津富子
「和に関するワークショップも行う予定で、今年は美音ちゃんがつまみ手芸、陽子ちゃんがお香をしてくれます。」
森陽子
「琇未先生に言われるまでは自分がワークショップをするなんて考えもしなかったです。」
梅原美音
「私もそうです。着物を楽しむのはもちろん、琇未会を通して活動することで、日田のことを考えるようになりました。意識が変わりました。」
小野琇未
「みんな多才なんです!去年からおひなまつりで始めた『高校生ふるさと思い出プロジェクト』も日田を離れる学生さんにも着物で日田を歩き、良い思い出を作ってほしいから。そして今考えているのは、日本遺産でもある咸宜園での『十三祝い』。知恵もらいとして日本各地の寺社などで行われるものです。学びと言えば日田には咸宜園がある!この節目に子どもたちに淡窓先生の教えを伝え、お祝いに着物で華を添えたい。来年から始めたいと考えています!」
嶋津富子
「そういう先生の行動力が私たちをさらに引っ張り上げてくれます。」
小野琇未
「でも最終的にはみんなが意見を出し合って形になります。特に嶋津さんは厳しい意見もくれます!(笑)」
嶋津富子
「年齢も上だし、私は先生の手綱をしっかりと掴んでおかないと!(笑)」
全員「きゃははは!そうですね!」
Vol.078 UNDER THE SAME SKY
Photo by Yuji Nakamura
Text by Yu Anai