

年の瀬となり寒さも増して、その中でも今年に追われてなかなかに疲れも見えてくる。こんな時に元気の出る食べ物はないかと考えながらふらふらと歩いていると何やらスパイスの香りがしてくる。そうだ温かくピリッとしたカレーを食べよう!僕は心をそう決めて十二町にあるカレーレストランナラヤンさんへと向かった。
和風な瓦屋根の店舗に対して黄色く塗られた柱は何故かエスニックな雰囲気を醸し出している。僕は店内へ入ると中ではネパールから来た店主のナラヤンさんと眼鏡のおじさんが話している。漫才の打ち合わせなのか「モリヤン」と言う言葉が所々聞き取れる。僕はそれを横目にカウンターへと座りメニューへと目を通した。本格的なカレー屋さんではあるがメニューへ目を通すと不思議なことに気付くカツカレーやあんこナンに、明太子のナン等の和風な物まで有るのだ。
ナンで食べるカレーも良いが今回はカツカレーとあんこナンを注文した。本格的なカレーでカツカレー?とは思うがそこはナラヤン、ちゃんとご飯とカツに合うカレールウを作ってくれている。あんこナンもモチッとしたナン生地に濃厚な甘さのあんこがデザートとしても最高だ。ナラヤンさんは日田で14年間日本人の口に合う味を研究してきたのだと感心しながらカツへカレーを絡ませながら僕は次々とご飯を掻き込んだ。
僕がカツカレーに舌鼓を打っているとその隣でナラヤンさんが「ちがーばい。森さんそれはべべんちょばい」と濃い日田弁で話している。どうやらネパールから来たナラヤンさんは14年間の中で日本人どころか日田人になっていたようだ。
カレーレストランナラヤンさんのスパイスの効いたカレーを食べ終わると僕は身も心もエネルギーに満ちた感じになった。冬のカレーも良いもんだと僕はお店を後にした。古い歴史の中に新しい歴史が加わり今の日田を作ってきたのだと僕はまた少しシャキッとして歩き始めた。

