

バンドが大好きな先輩とちょいと飲みに行こうかとなって選んだ居酒屋さんは泪橋だった。なんとも言えないベストな店選びだ。最近の若い子達は知らないだろうがバンドと言えば泪橋さんだ。それはなぜかと言われれば、泪橋の店主である樋口さんは以前に三本松でSCARFACEと言うライブハウスのオーナーさんでもあったからだ。そのライブハウスではテレビに出るような有名なミュージシャンも来ては日夜ライブが行われていたのは良い思い出だ。
そんな思い出も酒の肴にしながらも口へと入れる肴も欲しくなり、僕たちは刺身や唐揚げやホルモン鉄板を頼み、また酒を酌み交わした。ここ泪橋さんはメニューも豊富で本当に飽きさせない。肴と酒に舌鼓を打ちながらも僕たちは大人になっての生活の大変な部分や人付き合いの難しさ等を冗談を交えながら語っていた。そんな話をしていてふと気付いたが、店主のライブハウスの運営は本当に大変だっただろうなと考えた。好きなものを追いかけてはいるとは言え、夢を語るは簡単だが夢を追いかけるのは本当に大変だと大人になった今だから理解できる思いがある。
色んな思いとおつまみを肴に飲み続けた僕たちのほろ酔い劇場は良い感じで終盤へと差し掛かった。ここで泪橋さんと言えば、最近出しているあぶらーめんも良いが焼きそばだ。日田人の酒の締めと言えば昔は焼きそばだった。この泪橋さんではそれが今でも味わえるのだ。ここの焼きそばは気合の入ったパリパリ感が最高だ。日田で一番のパリパリだと言っても過言ではない。僕たちは締めに気合の入った焼きそばを黙々と食べてお店を後にした。寒い季節ではあるが、酒や食べ物や熱い思い出でなぜか寒さはそう感じなかった。なぜか懐かしい思い出の先に僕たちの新しい夢が待っているような気さえした。気合の入った焼きそばのせいかと冗談めかせながらも僕たちは熱い冬の夜を後にしてふらふらと歩いて行った。


