
映画は、暗闇の中で浮かび上がる光。生きていると、よいことばかりではなく、当然よくないことも起きる。その時、人はどうすればよいか分からなくなる。人生の指針を失いそうになる。しかし、だからこそ映画(=誰かの人生)をあらかじめ擬似体験することで、ささやかでも生きる指針になるのではないか。そう思うのです。闇があるからこそキラキラ輝いて見える星のように。
暗闇の中で、誰かの人生がスクリーンに映され、登場人物たちと一緒に物語を体験することで立ち上がってくる光。それが映画だ。その光は、単に照明のことだけではなく、愛や希望や兆し、友情や愛情や人情だったり、そもそも善し悪しでキッパリ分けられないこの世界で、見えないけれど確かにある光のことでもある。そして、まだ経験していない不測の事態が待ち受けているかもしれないからこそ、あなたの人生にとっての光となるかもしれないと、そう思い今日も故郷で映画を届けている。
そして、四月は旅立ちと別れの時期でもある。一歩踏み出すことを楽しみな人もいれば、怖い人もいる。どちらにしても、経験しないと何も分からない。分からないから、経験するしかない。経験するには、結局、一歩踏み出すしかない。そう思うと、旅をするしかないとも思えてくる。自分の足で見知らぬ社会を歩き、自分の目で、手で、肌で感じる。そして、どんな人がどんな風に生きているかを見る。その時初めて、自分と世界が繋がるのではないか。そしてこの世界は自分が思っているよりずっと広く、大きく、豊かで、切ないものだと気付く。そうやって自分で歩き、見て、感じたものを持ちながらであれば、この世界で自分にはいったい何ができるのか考えるキッカケがもたらされるはずだ。そう思うと、知らない町の中で、知らない誰かとまだ見ぬ物語を共に過ごすことができる映画は、旅や窓のようなものだとも感じてくる。すぐに遠くへ行けなくとも、今ココから観れる世界を体験する窓。
旅立つ人もそうでない人も、若い人もそうでない人も、未知なる世界へ一歩、足を踏み出してみてはどうだろう。どんな世界が広がっているのか、まだ誰も知らないのだから。この世界を信じて。


