

観光祭も終わり寂しさ残る梅雨の町をうろうろしている。まあ今日の飲み処を探しているのだが、あっちこっちで長年飲み歩いているので段々刺激も薄れてきているのだ。そんな所で家庭料理あ・うんが目に入った。ここはコラムの三話めで書いた所だが久しぶりにママさんの顔でも見るかと暖簾をくぐった。
しかしなにやら聞き覚えの無い声でいらっしゃいませと出迎えられた。見知らぬ女性と見知らぬ男性がカウンター越しに出迎えてくれている。はて?僕は店を間違えたのだろうか?だがカウンターにはいつものおばんざいが並んでいる。しかしそのおばんざいも微妙に違う。油揚げが小さいし、こじゃれた料理が入っている。もしや酒の飲み過ぎで異世界に転移してしまったのだろうか?悩みながらもカウンターに座ると、奥からあ・うんのママさんが出てきて見知らぬ二人を紹介されたが、二人は息子さん夫婦と言うことだった。よく見ると息子さんの未頼くんは親父さんに顔が似ている。それで納得した僕はビールを注文した。
煮しめをつまみにビールを飲んでいると煮しめの中にオリーブが入っているではないか。僕はそれを食べてみると実に美味しい。そして酒にも合うではないか。未頼くんはアメリカで料理人をしていたらしく、和の中にも西洋のテイストを混ぜた料理が新しい刺激をくれる。その奥さんも丁寧な接客で実に心地よい。この奥さんである麻衣子さんは同じくヒタスタイルさんにイラストで関わっているらしく話も弾んだ。
今までのあ・うんも心地よいが、代の変わった、あ・うんもこれまた新しくも心地よい。昔からの名店が息子さんを通して残ってくれるのが本当に嬉しいかぎりだ。僕は嬉しい気持ちのまま魚料理と日本酒でもと飲み続け良い時間で気持ちよくなってきた。このコラムの連載を続けるうちに少しずつ時代が変わってきているのを実感しながらまたふらふらと日田の町を歩いて思いに更けた。


