
このコラムを書いているのは、毎年祇園祭の前。ということは隈や豆田地区に、山鉾や法被(はっぴ)姿の男たちが現れ、遠くからお囃子も聞こえてくる時期。今でもこの時期にはワクワクする。それは、あの夏休みがすぐそこにあるという、小さな頃の気持ちが今でも続いているからなのかもしれない。そう思うと、こども時代の体験には大きな価値があると、今更ながら気付かされる。
ぼくの小さな頃は、体調が悪い時や冠婚葬祭以外は、必ず行かなければならない場所が学校だったし、もちろん雨でも歩いて登下校しなければいけないので、夏休みになると単純に行かなくていいだけで嬉しかったが、思い出は、毎日みんなでプールや川に遊びに行く景色。ということは、プールや川が自分にとって楽しい時間だったのだろう。もちろん水が苦手な人もいるが、ここで言いたいのは、本当は雨で中止になったり、家で遊ぶしかなかったりするなど、毎日プールや川に行っているわけじゃないけれど、記憶は〝毎日プールや川に行っていた、そしてそれがとても楽しかった〟とストックされている事実がおもしろいのだ。毎日じゃないのも事実。でも、毎日行ってたと記憶していることも事実だから。そしてその記憶は、今も光に溢れ、希望で満ちている。
現代のこどもたちにとっての夏休みってどんなものになっていくのだろう。ここ数年は温暖化で「外出を控えて」とアナウンスが流れ、外に出ないように、川には近づかないようにと社会が推奨する。さらにスマホなどのネットワークで会話する。身体的な体験がどれだけできるのだろうと思ってしまう。夏が来るとワクワクするという人が減ってしまうのは嫌だ。なので映画館ではアニメ特集を開催。アニメはこどもが観るものと侮るなかれ。大人も楽しめるものしか、こどもも楽しめないのだから。
いつかこどもたちが大きくなって、夏が来るとワクワクし、映画館も楽しい思い出として残ってもらえると想像するだけで、今日の活力が湧いてくる。入道雲もギラギラ太陽も味方にして、この夏を楽しい思い出にしたい。


