ぼくの仕事場は映画館。だからこそショップで取り扱っている作品も、いい映画が持っているものと同じで、〝互いの思いやり〟や〝いいものを作ろうとするハンパない探究心〟のある作家さんの生み出したモノばかりだ。さらに自身も忙しいのに、よく映画を観ていて感心するし、『映画からエネルギーをもらっているよ』とまで言ってくれている。たとえ今は不遇でも、コツコツと地道に未来に繋がることをやり続けていたら、きっと兆しが見えてくる。そんな姿もたくさん見てきた。見えなかった人もたくさん見てきた。そうならないように、互いに励まし合いながら10数年経った。そして、今がある。それだけだ。それだけだけど、それがこんなに美しい。お金や知名度だけを目標にしている人なら、自分だけ良ければいいのだから互いの関係が続くはずもないし、何よりとても悲しい。美味しい料理やお酒を共に交わせないなんて、切ない。
商売とはいえ、どの作品が売れるのかなんてぼくには分からない。でもそれより、出会った頃から想いが一致したり、思いやりがハンパなかったり、思い描く夢に共感できたり…、その人自身に惹かれている。要するに、この人から何が生まれてくるかは分からないけれど、でもこの人からなら、きっと素晴らしいものが生まれるに違いないという、不確かなようで確かなものがある。また、恋愛と同じでこちらが一方的に好きだからと言って相手も同じように好きになってくれるなんて滅多に起きない。でも、滅多に起きないだけで、起こりうるのも事実。だから成就した時は天にも昇る気持ちにもなれるわけで。それなら、起こりうる方に人生を挑戦してみてもいいのかもしれない。もちろん、無理に挑戦する必要もない。だけれど、とにかく全て自分次第で目の前の彩りがガラッと変わることを知っておくことは大切なことだと思う。そんな、人生を教えてくれたのが映画であり音楽であり芸術だった。人生は誰も教えてくれないからこそ、映画は今でも(きっとこれからも)ぼくの人生の先生だ。今年も大変お世話になりました。来年もいい作品をお届けできるよう頑張りますので、日田の映画館をよろしくお願い致します。