
○ 日田市 ○日田市役所職員 ○走幅跳選手陸上指導者 ○47歳
恩師との出会いと学生時代
「子どもの頃から運動は得意でした。ただ小学校からの大の親友がいつも徒競走1番で彼を抜くことが出来ず、中学2年までは市の中体連にも出れませんでした。中学3年生から日田藤蔭高校の陸上部と一緒に練習をさせてもらうようになり、外部コーチだった高瀬幸男先生の指導を受けるようになってから徐々に頭角を現し、中学3年で初めて100mで日田市で1位になりました。いつも争っていた友人と一緒に藤蔭高校へ入学し高瀬先生の指導を受け続けました。高瀬先生には、跳躍力があるからと走幅跳を勧められ、本格的に走幅跳に取り組みました。高校時代は、県内に全国中学4位の選手がいて、その人に勝つために日々ストイックに練習し、陸上に捧げた青春でした。結果、その人に勝ち、国体選手として3位に入賞することができました。とにかく陸上が好きでした。陸上を続けるために福岡大学へ進学、就職のことなんて全く考えてなくて、とにかく大好きな陸上がしたい!という思いで続けてましたが、当時、日田市職員採用にスポーツ選考枠があったことから採用試験を受けて日田市役所に入庁できました。ただ他の実業団選手とは違い、定時まで仕事をしてから練習をする日々でした。」

社会人選手として、指導者として
「社会人になってからも走幅跳で国体、日本選手権で4位、静岡国際では8メートル台が見えた記録も出せた。やっぱり日々の練習の成果だと思っています。一応、世界一にもなったことがあって…、 2017年の世界マスターズ室内陸上大会では優勝することができました。自分でもやりつくしたところもあります。そんな時に藤蔭高校の陸上部の外部指導に声をかけていただき、指導者として陸上に携わることとなりました。今はクラブチームをつくり、小・中・高生を指導しています。強い選手を育てるだけではなく、好きなことを続けられる環境や人をつくりたい。練習メニューは厳しいかもしれないけれど、とにかく楽しむということを大切にしています。中高生には変なおじさんとおもわれそうなほど友人のように接しますが、小学生には危ないこと、いじめや仲間はずれにつながることに関しては、気遣いながら厳しく指導しています。それが将来の地域循環や人づくりにもつながると思っています。ウザいかもしれないけど、僕は熱量を持って指導しています。若い子には何かに夢中になって欲しいんです。それが陸上だったらなおさらだけど、一生懸命になれることを見つけて続けて欲しいです。僕がなぜここまで気持ちが強いかというのには理由があって…。僕には弟がいて、彼も仕事をしながら好きなバンドをずっと続けています。実は僕とその弟の間にもう一人弟がいたんですが、小学生の時に川の事故で亡くなってしまいました。僕らの両親はずっと好きなことをさせてくれた…口にはださないけど、それはきっと好きなことを見つけてしまう前に亡くなってしまった弟のことがあったからだろうと、僕と弟は思っています。だからこそ、一生懸命に好きなことに向き合い、続けることは両親が一番喜ぶことだと思っています。その結果、僕は陸上に夢中です。最後に、僕に関わってくれている人に感謝します。有難うございます。」
Vol.88 UNDER THE SAME SKY
Photo by Yuji Nakamura
Text by Yu Anai


