

最近の僕は、春の誘惑に揺れている。
少し季節は遡るけれど、1月1日に初日の出を見に五篠殿へ登った。
午前5時に出発し、暗闇の山道を無我夢中で歩く。次第に空が白み始め、周りの景色に少しずつ色がついていく。
「山が萌えていく。」
そんな普段使わない言葉を口にしながら、2026年の始まりを全身で感じていた。
山頂で見た日の出は、思わず息を飲む美しさだった。
あぁ、太陽ってこんなにも綺麗なのか。
一緒に登った仲間たちは、それぞれ新年の誓いを立てていた。僕も見習おうと、体重を落とすことを決めた。
家に戻り体重計に乗ると72kg。
最近の僕は、好きな時に好きな物を好きなだけ食べ、ろくに運動もしない生活が続いていた。
「やるからには、とことんやろう!」
食事制限を中心に、運動も少し取り入れることにした。そんな生活を続けたところ、2月の末には65kgまで減量。結果が出ると、人からの反応も楽しくなる。
「痩せた?」と聞かれるたび、謙遜しながらもどこか誇らしい表情を見せる日々が続いていた。
そして春。
ある夜入った居酒屋でタラの芽の天ぷらを注文した。
最近の僕であれば、食べても一つ。
いつも通り我慢できるはずだった。
サクサクの食感と春野菜のフレッシュな香り。
この季節でしか食べることのできない特別感。酒のせいもあってか、僕は再び食べる喜びを思い出してしまった。
そして現在の体重は67.7kg。
五篠殿の方角を眺めながら、
今日も僕は春の誘惑に耐えている。


