
春めく盛岡では、掛け替えない大きなものをたくさん頂いた。どこかで記したいが、つまりは〝人〟なのだと再確認できたいい時間だった。いつも映画が言っている通りですね。
今月10日に、福岡県福津市津屋崎にて映画上映会が行われる。上映作品は世界的名画『ニュー・シネマ・パラダイス 完全版』。そこにトークに招かれた。経緯は、主催である江藤夫妻が「自分たちの住む町に映画館を作りたい」と、日田まで通い相談してくれたから。いきなり映画館を作ることはリスクが高い。地元の皆さんも都市開発の一環ではないかなど憶測が飛び交う可能性もあり、そもそも映画館運営は難しい。地域の方々のお力添えがなければ到底成り立たない事業。しかも日田と同様、小さな町だからこそなおさら。それでも、映画館を作りたいと彼らは言う。では、なぜそこまで思えるのか。それを、皆さんと共有すればいいのではないかと提案し、今回の上映会に至った。と言うわけで、第0回目のこの上映会は、次の第1回目の上映会を皆さんの意見を交えながら進めることを理想とした上映会だと思って頂きたいのです。意見交換を重ねながら映画館設立を目指すこの行為自体が、この過程が、最も大切な価値だと思うから。
お金があれば誰にでもできることに興味がない。それは、そこに住むこどもたちにも影響する大人の姿勢にもなり、都市開発と同じ事態になってしまう。開発自体が悪いのではなく、大切なのはその土地に暮らす方々と常に意見交換することであり、その中から生まれることを実践していく姿勢が、その町の人格になってゆくから。
津屋崎の方々とお話をすると、みなさんが津屋崎に誇りを持ち、よくある海岸沿いのリゾート化を避けたいと言う。それは、すでに危機感がある証拠でもあり、「この町で暮らす」ことを最も大切にしているからだと感じた。そんな「暮らし」に寄り添う映画館がこの町にあれば素敵だ。ぼくが映画を観た後、三隈川を眺めるように、ここでは海を眺めることができる。それはきっと、ここにしかない貴重な時間となって、あなたの人生をそっと押してくれるから。


