
どこからともなく漂う金木犀の香りで秋の始まりを感じるように、11月の福岡の街で鬢付け油の香りに出会うと、いよいよ九州場所が始まるんだと気分が盛り上がる。
家にテレビが一台しかなかった時代のチャンネルの主導権は父親で、その父の解説を聞きながら、毎場所の相撲中継を観ていた小1の私は、自分もお相撲さんのように強いと思い込んでいて、第1回大山町ちびっこ相撲大会にどうしても出たいと言って出場し、あっさり同級生男子に負けて泣いた。悔しかったあの日のことは今もよく覚えている。
『りきしのほし』
作/加藤休み
出版社/イースト・プレス
力士のかちかちやまの日常が、クレヨンでダイナミックに描かれています。
毎日毎日、厳しい稽古をしているのに、ちっとも強くなれません。
「やめようかな。」
そうつぶやく場面では、つい自分と重ね合わせて泣きそうになる。
「相撲の勝ち負けはとても短い時間で決まります。毎日厳しい稽古をしている力士は、この短い時間のためにがんばってると思うと私は大きな声で応援したくなります。」
子どもたちへの読み聞かせでは、いつも作者のこのあとがきも必ず読む。
勝負の世界は、結果がすべてなのかもしれない。けれど、結果を求めて近道をしてはいけないのだなと
もういっちょ、もういっちょ
と、がんばるかちかちやまを見て、私もコツコツがんばろうという気持ちになってきます。
さすがにもう、相撲は取らないけれど。
(追伸)ヒタスタイルの相撲コラム、楽しみに読んでいました。

