グラミー賞という言葉を聞いたことがある方も多いと思うが、映画でいうとアカデミー賞のような世界的音楽賞だ。その音楽賞の最優秀コンテンポラリー・ブルース・アルバムを3度も受賞(今年も有力!)し、数々の世界的大型フェスティバルでもヘッドライナー(主役)を務めるミュージシャン:ファンタスティック・ネグリートが、なんと日田で、映画館で公演することになった。
どうしてこんなことができるの?と言われるが、答えは〝日田だから〟できるのです。それをみなさんに知ってほしい。
と言っても、それも唐突ですね。この土地もあるけれど、やはり粋な日田人たちがいるから実現できたのです。まずサンフランシスコに住み飲食店を経営している日田高の先輩がいる。ファンタスティックはそのお店に出入りしていた。彼らはいつしか家族のように親しくなり、コロナ禍をきっかけに、その先輩は故郷である日田に何か貢献できないかと思うようになった。そして数年前、先輩が映画館に来て会うことができて『ファンタスティックを日田に連れて来たいけど、何かできないか』と打診された。そこで去年は母校である日田高に彼らを招き、学生たちとの交流会を行った(とても素敵な時間だった)。すると、日田を気に入ってくれたのだろう、今年も来てくれるということになった。であれば、やっぱりライブを聴かせて欲しいと伝えたところ快諾!聞けば、彼自身もショービジネス世界での音楽の届け方に疑問を感じていた部分があり、大切な友人の故郷で自分の音楽を届けたいというシンプルな想いから、今回は高校生との交流だけでなく、映画館でもライブできることになったのだ。そう、大切なのは〝想い〟なのだ。そんな風に思うファンタスティックも素敵だが、〝こどもたちの為なら!〟と、働きながらも時間を作り、無償で準備をしてくれる大人たちがいることが、日田らしい(ヒタスタイルだ)なぁと思うのです。
しかも、最初はソロライブの予定が、ぼくもやりたい!と次々に集まってくれて、結局4人編成の本格的バンドセット公演になっちゃいました。これも実に日田っぽい。このまたとない機会、一生の思い出もあるけれど、日田のみんなと作り上げたものを、日田の皆さんに観ていただけると、この上ない幸せです。そして、こんな大人たちの〝想い〟が未来へと繋がるといいな。
【コラム】原 茂 樹 ファンタスティック・ネグリート来日公演!