ご先祖様はもちろんだけど、お盆の時期は、ふるさとを離れた仲間たちも帰ってくる。そのおかげで町は再会を喜ぶ声にあふれ、数日間だけ特別な賑わいを見せる。そんな仲間たちの帰りを迎える側として、僕は昨年から「夜明上町夏祭り」のお手伝いをさせてもらっている。
このお祭りは地元のおじちゃん達が、1年を通じて草刈りをして、その収益を原資に花火まで打ち上げてしまう、なんとも豪快で愛のあるお祭りだ。
ただ、今年は一つだけ例年と違っていた。運営の中心メンバーの一人、F夫さんが病に倒れてしまったのだ。去年より10キロも痩せ、大好きだったお酒もやめたと聞いた。それでも当日、F夫さんは朝から会場入り。時折しんどそうな顔を見せながらも、最後まで現場に立ち続けていた。
昨年を上回る多くの来場者が今山駅公園に集まり、みんなで夜空を見上げる。
「ドーン!ドドーン!」
(みんなおかえり!夜明は元気だぞ!)
そんな声が聞こえてくるような花火だった。
イベントを終えて、F夫さんに「お疲れ様です!」と、キンキンに冷えたノンアルビールを手渡した。
「やっぱり美味いな…!」とF夫さんは笑う。
高齢化が進む中、僕らが子どもの頃から通っていたようなお祭りも、いつかは僕らが繋いでいく番がやってくる。
地域のイベントは関われば関わるほど、毎回その愛の深さに驚かされる。地道な草刈りの積み重ねが生み出した花火。その過程を知っているからこそ、あの一発一発が心に沁みた。